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ステッピングモータをお使い頂くために 19号〜「ドライバ編」のまとめはこちら |
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<01 メールマガジン:2010年7月号> ■ ステッピングモータをお使い頂くために(1) 「今月号より新シリーズです」 本コーナーで連載しておりました「特許に関するキーワード」シリーズを、お読み下さいましてありがとうございました。今月号より、マイコム製品や技術をより多くの方々により深く知って頂くために、新たな連載を開始させて頂くことになりました。 弊社はステッピングモータを制御する技術を核に、動かす装置(ドライバ)、指令する装置(コントローラ)そしてGUIや制御アルゴリズム(ソフトウェア)の研究開発を行うものづくり企業です。 またこれら自社技術を組み込んだ機構製品(ロボット)もユーザ様にご提供させて頂いています。ステッピングモータ制御に関する製品を、上流(ソフトウェア・コントローラ)から中流(ドライバ)、そして下流(モータ)まで網羅していると自負しています。 本コラムは、ステッピングモータをよく知って頂くことでステッピングモータファンを増やしたいという願いを込めて始めさせて頂きます。ステッピングモータがより多く使われるようになり、弊社製品も貢献する機会を増やすことが出来れば幸いです。 ステッピングモータは電源さえ用意すれば動作するモータではありません。前述の中上流に位置する制御装置が必要であり、これら制御装置の善し悪しがステッピンモータの特性に影響する関係にあります。 つまりステッピングモータを知って頂くことは、その制御装置についても知って頂くことに結びつきます。コラムは、上流へと遡るように展開していく予定です。 本コラムは技術的な内容となりますが、ステッピングモータをお使いになったことのない方や営業をご担当されている方々に、弊社技術をご理解頂けるよう心がけて参ります。是非とも、お付き合い下さいますようお願い申し上げます。 前置きが長くなってしまいました。 次回より「ステッピングモータって何?」と題して、まずステッピングモータそのものに注目して頂き、話を進めていく予定です。そこで、次のフレーズを是非とも次回までお心に留め置いて頂けたら嬉しい限りです。 「ステッピンモータは止まることが得意なモータ」 このフレーズは、本コラムの基調でもあります。実際、ステッピングモータに電源を投入すると回転することなく、励磁原点というポジションにじっと止まりけっして回転しません。電池に繋ぐと回転を始める小型DCモータとは、大きく異なります。 止まることが得意であるので位置決め制御にはもってこいのステッピングモータですが、目標位置までは動いていかなければなりません。 さてどうやって動かすのか?モータの内部構造に何か秘密があるのか?と言った話を、次回から進めて参りますので、よろしくお願い申し上げます。 <mt> コラム一覧に戻る |
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<02 メールマガジン:2010年8月号> ■ ステッピングモータをお使い頂くために(2) 「電動モータって何?」 「ステッピンモータは止まることが得意なモータ」 このフレーズは、ステッピングモータの特徴を良く言い表していると筆者は考えています。このステッピングモータというモータを知って頂くために、その構造の特徴と言った機械的成り立ちを先ずご理解頂ければと思います。 まずモータとは?です。 モータとは“動かす装置”であり、水力によるものもあれば空気圧や蒸気と、その動力源は様々です。その中で電気エネルギーを動力源とするものを電動モータと分類しており、ステッピングモータはその一種です。以後この電動モータをモータと呼ばせて頂きますので、お願い致します。 モータは更に、電気エネルギーの変換原理(磁界・電界・超音波)、電源種別(直流・単相・三相)、動作特徴(速度同期/非同期・回転一方向/双方向)、というように多岐に渡ります。それらがマトリクスに重なり合って、複雑です。 しかしこの事は、用途に適したモータを選択できるよう創意工夫された結果であり、広く使われている事を示していると言えます。 これらモータの中で磁界により動作するものを電磁モータと言い、電気エネルギーを磁力に変換し、N極とS極との引き合う/反発し合う作用で機械エネルギーに変えらえモータ軸は回転します。直動(リニア)するモータもありますが、原理は同じです。 ステッピングモータは磁界を利用とする電磁モータであり、電源種別には依存せず、速度同期の回転双方向モータです。 私達の身の回りのいろいろな場所に、様々なモータが使われています。電車、エレベータやエスカレータの駆動、エアコンや冷蔵庫と言った家電、電気掃除機などはモータそのものです。またパソコンのハードディスクドライブや冷却ファン、プリンタの紙送りやFAX・スキャナのイメージリーダ部は小型モータの活躍の場です。ステッピングモータを使えば、機械式時計は簡単に作ることができます。このように私達は、モータに囲まれて暮らしています。 さてこれら電磁モータの構造です。 小学校の理科の実験で、モータを作った経験をお持ちと思います。 永久磁石2個をN極とS極を対向させて固定し、その間に整流子によって電流の向きを変えられるようにしたコイルを置いた、ブラシモータの原理を姿にした実験装置です。この永久磁石とコイルが、電磁モータを構成する基本要素です。この永久磁石とコイルを様々な形状にすることで、いろいろな構造を持つモータが生み出され用途にあった特性を発揮します。 さてこの実験モータはコイルに電流を流すだけで回り、特別な駆動回路を必要としないシンプルな構造です。簡単に回るモータなのですが 『右回転する時と左回転する時がある』『回転しないので指で押したら回転を始めた』といった経験はありませんでしたか。この現象は「回したいのに止まっている」状態で「止まることが得意」とは異なります。 何故そうなるのでしょうか。 構造の説明には、やはり図を用いた方が判りやすいと思います。 次回はアニメーションを交え、電磁モータの構造と動きを概観する予定です。<mt> コラム一覧に戻る |
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<03 メールマガジン:2010年9月号> ■ ステッピングモータをお使い頂くために (3) ■ 「電動モータって何?(2)」 電磁モータは、どのようにして動くのでしょうか。 今回は最も構造が簡単な2極ブラシモータを例に取り、動画を使ってその動きを調べてみます。 http://www.mycom-japan.co.jp/mail/mag/201009/c1009.htm 上記のURLを開いてください。図が表示されます。 図1は、ブラシモータの基本構成です。 (1)永久磁石は、S極とN極が向かい合うように配置されます。 (2)コイルは、鉄芯(灰色)に導電線(緑色)が巻かれています。 このコイルに電流が流れると磁界が発生し、永久磁石との間に押したり引いたりする磁力が生まれ、モータ軸を回転させるトルク(力)となります。 (3)整流子は2つに分かれ、それぞれがコイルの両端に繋がっています。 (4)ブラシはそれぞれ+と−の電源に繋り、整流子を挟んでいます。 ブラシは固定さていますが、整流子はコイルと共に回転します。 つまり整流子それぞれは回転位置により、電源の+と−とに交互に繋がります。従ってコイルに流れる電流の向きが変わり、コイルの磁界の向きが変わります。整流子は、コイル電流の向きを切り替える役割を持ちます。この4つが、モータの基本構成です。 動作は、やはり目で見て頂いた方が判り易いでしょう。 動画1をご覧下さい。 「整流子に隙間がありその隙間はコイルの中心線から少しずれている」、「ブラシの位置にその隙間が来た時はコイルには電流が流れない」点に注目して下さい。 図1の静止状態に通電すると図2になり、永久磁石に対しコイルの磁力は反発し時計方向に回転を始めます。回転していくと今度は永久磁石に引かれて行きます(図3)。そしてコイルが水平になる直前に整流子の隙間がブラシの位置に来て、コイルには電流が流れなくなります(図4)。 モータ軸は慣性で回転を続け、整流子がブラシに接すると電流がこれまでと逆向きに流れ(図5)、図2と同じ状態になります。 この動作の繰り返しで、モータは回転します。このように整流子によってコイルの磁界の向きが切り替わり、一定の方向に回転するのが電磁モータの動作原理です。 モータ回転の仕組みが、お判り頂けたでしょうか。 ところで(図4)の位置にコイルが止まっている状態で、電源を入れたらどうなるでしょうか。コイルに電流は流れないので回転トルクが発生せず、モータは動きません。前回『回転しないので指で押したら回転を始めた』とお話ししたように、整流子がブラシに触れる所まで指でコイルを押してやれば回転を始めます。 しかし指で押さないと回転を始めないモータでは、実用的ではありません。また回転の途中でコイルに電流が流れない、つまり回転トルクが発生しない区間が有ることも実用とするには問題です。 次回は、実用となるブラシモータの構成についてお話しします。 なかなかステッピングモータの説明に至りませんが、しばらくお付き合い下さい。 (mt) コラム一覧に戻る |
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<04 メールマガジン:2010年10月号> ■ ステッピングモータをお使い頂くために (4) ■ 「電動モータって何?(3)」 前回の2極ブラシモータの動作説明で、コイルがある位置に止まると再度通電しても回り始めないことをお話しました。 前回9月号の参照図、下記URLの図4に示す位置です。 http://www.mycom-japan.co.jp/mail/mag/column/c2010.htm#c201009 整流子がブラシに接触していないのでコイルに電流は流れず、磁力が発生せず回転できません。 この状態はモータが回転している時でも、モータ軸1回転中に2回あります。 トルクが発生しない所があっても、回り始めたモータは慣性で回り続けます。 しかし、回転中に無トルクの区間があることは、トルクのムラとなり安定した回転が得られず問題です。 もう一つの注目点は、コイル(鉄心)両端面と永久磁石面とが平行になり対向する位置、図ではコイルが水平になる位置でコイルに磁力を発生させると回転動作の妨げになる事です。この時発生する磁力の方向はモ−タ軸の回転方向に直交するため、回転させる力にならないばかりか回転を止めようとする力となります。 これらの問題点を解消するために考案されたのが、3極ブラシモータです。 図と動画を用意しましたので、下記URLをご覧下さい。 http://www.mycom-japan.co.jp/mail/mag/column/c2010.htm 3極ブラシモータの進化した所は、コイルが3極になり整流子が3つになった点です(図6)。 この構造により2つ以上のコイルには必ず電流が流れるので、コイルの停止位置に関わらず通電すれば回転を始めます。また永久磁石に対向するコイルには電流は流れないように整流子を配置しているので、回転を妨げる磁力も発生しません(図8・10)。 ブラシモータは、学校の教材にもなるほどの、電動モータの基本中の基本です。その動作原理をご理解頂けましたでしょうか。 ちなみにブラシモータのブラシと整流子は、機械的に接触しているため摩耗します。耐久性を求められるシステムや粉塵を嫌う環境では使えません。機械的接触なので回転中にモータ内で火花が飛ぶので、引火性雰囲気では使用不可です。 これらの欠点を克服するためにブラシレスモータが作り出されました。 文字通りブラシや整流子は無く、代わりに電子回路によりコイル電流がON/OFFされます。 ブラシモータを始めとする磁力が一方向のみに作用する誘導モータは、回る事を得意としています。止まる事は不得意なので、停止位置を制御する事は出来ません。 そこで止まる事が得意なステッピングモータの出番となります。 (mt) コラム一覧に戻る |
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<05 メールマガジン:2010年11月号> ■ ステッピングモータをお使い頂くために (5) ■ 「電動モータって何?(4)」 ブラシレスモータについても説明がほしいとのご要望がありましたので、今月号ではその構造について概観します。ステッピングモータの構造をご理解頂くための橋渡しとしても、重要と考えました。 次のURLをご覧下さい。 http://www.mycom-japan.co.jp/mail/mag/column/c2010.htm#c201011 これまでから大きく異なる所は、コイルがステータ側に移り、ロータが永久磁石になった点です。 ロータ側にコイルを配する構造は、ロータ凸部をコイルにしてからステータ内に差し込めば良く、作りやすいと言えます。コイルと電源は整流子とブラシとの接触で通電しているので接続は固定ではなく、故にロータが回転しても通電線がよじれる事はありません。 ブラシレスモータは整流子とブラシを持たずコイルと電源は固定された接続になるので、ロータ側のコイルでは通電線がよじれます。コイルをステータ側に移し、ロータに機械的自由を与えます。ステータの内側にコイルを作るのは手間ですが、ブラシの摩耗、金属粉や火花の発生といった問題点が解消され他にも利点を持ちます。 ブラシレスモータの構造は色々ありますが、動画3に示した構造ではコイルの励磁を電子回路で切り替えられます。切り替えタイミングを速くすればモータ回転は速くなり、速度制御が可能なスピードコントロールモータになります。またコイル励磁順を逆にすると、逆回転もできるリバーシブルモータになります。これらの特性を持つモ−タを、一般的に誘導(インダクション)モータと言います。 電源極性や印加電圧を変えないと回転方向や速度が変わらないブラシモータと比べた利点です。 図11・12・13に、コイルの励磁切り替わりに対応するロータ回転の一場面を示しました。図11は、コイルとロータの磁力バランスが釣り合い停止した状態です。図12でコイル励磁が切り替わって回転し、図13でまた釣り合って停止します。図の構成では、通電したまま決まった位置にロータを停止させる事が出来ます。 ですが、この誘導モータは位置決め制御に適していません。 それは誘導モータがステッピングモータに比べ、コイルとロータ磁極の数が少ない事に起因します。 切り替わりがゆっくりの励磁には、ロータの回転は追従します。 切り替わりが、早くなるに従ってロータ回転に遅れが生じ、早くから遅くに転じるとロータ回転の方が先に進む動きになります。これが“滑りモータ”と言われる理由です。“滑り”は慣性であり、それを利用し回る事を得意とする誘導モータがあります。 しかし“滑る”故に、位置決め制御には適しません。 (mt) コラム一覧に戻る |
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<06 メールマガジン:2010年12月号> ■ ステッピングモータをお使い頂くために(6) ■ 「ステッピングモータの構造(1)」 誘導(インダクション)モータは、滑りモータとも呼ばれます。回転させるためにコイルの励磁を切り替えますが、例えば10回転分の励磁切り替えを行ってもロータが10回転しているとは限りません。故に滑りモータと呼ばれるわけですが、この事は不具合ではありません。外力によって回転速度が変化しても、コイルの励磁切り替わり速度に追従しようします。 この追従動作はモータ駆動装置の制御によるものですが、滑りモータはその制御に適した構造と言えます。回る事を得意とするインダクションモータは負荷変動に柔軟に対応できる利点を持ちますが、指定した位置には止まりません。止める事を目的としたモータではないので、位置決め制御には用いられません。 そこで、ステッピングモータです。 止まる事を得意とするステッピングモータの構造を、先ず見ていく事にします。 http://www.mycom-japan.co.jp/mail/mag/column/c2010.htm#c201012 に、ハイブリッド型2相ステッピングモータの内部が判る写真を載せました。 写真1はモータ本体からロータを抜き出したもので、右下手前からブラケット、ロータ、ステータです。ステータにコイル、ロータに永久磁石の構成はインダクションモータと同じですが、止まるための工夫が施されています。 写真2はステータス内側のコイルの様子で、コイルは8個ありピッチは45°です。ひとつのコイルの鉄芯に5本ずつ、ロータに向かって歯が刻まれています。 写真3はロータの拡大で、円筒状の永久磁石に歯車状に歯が刻まれています。二つの歯車が並んだような構造で、それぞれ50歯(ピッチ7.2°)あります。手前がN極で奥がS極、歯は3.6°ズレています。 なお写真1のロータに付いている小さな円板はベアリングで、ブラケットの軸受け部に収まります。 筆者はステッピングモータの制御に従事したての頃、先ずモータを分解してみました。その時の印象は歯車のようだ、でした。ステータ歯とロータ歯とは機械的に接触はしていませんが、磁気的なバランスによって歯車のような動きをする、と考えるのが判りやすいと現在でも思っています。 これらの歯が、ステッピングモータの構造の最大特徴であり、回り止まるためのミソです。 図14に、コイルとロータの一部を図示しました。ステータ歯はピッチ7.5°でロータ歯は7.2°と違っているので、ステータ中央歯とN極歯と位置関係は、例えばA相では対面しB相では1.8°のズレがあります。 構造の説明は次号に続きますが今回はステータ歯とロータ歯とのズレが、ステッピングモータが回りそしてきちんと止まるための構造的仕掛けである、とご記憶ください。(mt) コラム一覧に戻る |
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<07 メールマガジン:2011年1月号> ■ ステッピングモータをお使い頂くために(7) ■ 「ステッピングモータの構造(2) -概要-」 あけましておめでとうございます。 本年もよろしくお願い申し上げます。 これまでコイルとロータの関係を主に誘導モータの構造と動作原理を概観し、昨年の12月号ではステッピングモータのコイル歯とロータ歯のズレがその特徴である「止まる事を得意とするモータ」の特徴点である事を説明しました。 今月号からは、動作原理については一旦おき、構造を詳しく見ていく事にします。 構造から見るとステッピングモータは、一般的に次のように分類されます。 (1)相数の違い:1相・2相・3相・4相・5相 簡単に言えば、コイル数の違いです。2相だからといって、コイルが2コとは限りません。 相数の違いは、制御角度の違いに反映します。一般論として相数が多くなれば、制御角度は細かくなります。 (2)ロータ構造の違い:VR型・PM型・HB型 ロータ部に永久磁石が用いられているのが、PM型とHB型です。PM型は円筒状で、HB型は歯車状です。VR型ロータも歯車状ですが、永久磁石ではなく鋼材等で作られています。 PM型とHB型ロータはコイル磁力に、引かれたり押されたりされます。VR型ロータは、コイル磁力に引かれるのみです。 PM型とVR型の良いところを組み合わせたものが、HB(Hybrid=ハイブリッド)型です。 (3)トルク伝達方法の違い:リニア・アウターロータ これまでにお話ししてきましたステッピングモータは、ロータ軸が回転し機構に力を伝達する形態です。これからも説明の中心はこの形態です。一方、回転ではなくリニア(直線)に力を伝達するのがリニアステッピングモータです。またロータ部が固定され、ケース部分が回転するものがアウターロータモータです。 その他に、コイルの設置方法(円周分布/軸方向縦続)や巻き線方法(ユニファイラ/バイファイラ)の違い、モータ駆動電流の方向(ユニポーラ/バイポーラ)の違いによる分類があります。 ちなみに前月号で分解し写真でお見せしたステッピングモータは、2相ユニポーラです。ここまでは分解しなくても判りますが、分解してみるとHB型で相配置は円周分布型であると判ります。巻き線方法は、予想は出来ますが正確には仕様書を確認するか巻き線をほぐしてみないと判りません。 このようにステッピングモータは特性向上を得るため、また用いる機構の必要に応じいろいろな形態に進化してきました。 次月号から前述の(1)(2)(3)を中心にして、ステッピングモータの構造について説明していく予定です。 本年も引き続きお付き合い下さいますよう、お願い申し上げます。(mt) コラム一覧に戻る |
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<08 メールマガジン:2011年2月号> ■ ステッピングモータをお使い頂くために(8) ■ 「ステッピングモータの構造(3)-相数-」 ステッピングモータの構造について、まず相(phase)から説明を始めます。 相は、電動モータでは電気的に磁力を発生させる機構を言います。 三相交流モータと言うようにステッピングモータに限らず電動モータに用いられる用語でもあります。電気的に磁力を発生させる機構にコイルがあり、原理が簡単でありまた作りやすいため電動モータに広く用いられています。 相については工学的な定義はありますが、ここではコイルを示すと考える事にします。 相に関連するモータ各部位の名称について、図15に示しました。 http://www.mycom-japan.co.jp/mail/mag/column/c2011.htm#c201102 を、参照ください。今月号で参照する図16・17・18も、載せました。 ステータの内側、モータ中心方向に凸構造が形作られていて、コイルが巻きやすいようになっています。これが磁極です。本コラム12月号に掲載した写真2でもよく判りますが、その一部を断面図にしたのが図15です。 この磁極のロータに対する面には溝が切られ、歯車状になっています。これを、磁極誘導子と言います。 歯車状誘導子の構造は、ステッピングモータのハイブリッド(HB)型に特有のものです。HB型の説明は、来月号で行います。 また誘導子はロータ側にも歯車状に設けてあり、ロータ小歯と呼んでいます。 この磁極誘導子とロータ小歯のピッチの差が、ステッピングモータの基本ステップ角を決めます。つまり都合良くそれぞれのピッチを設ければ、いろいろな基本ステップ角が得られます。このことは初夏頃に本コラムでお話する予定です。 さて、相は通電の有無によって磁力が有る無しの状態を取ります。 また通電の大きさによって磁力の大きさが決まり、方向によってN/S極が切り替わります。相への通電は制御回路によって行われますが、相を電流切り替えスイッチ付きのコイルと言う事が出来ます。 このスイッチ付きコイルを二つ設けたものが、2相ステッピングモータです。 コイルが三つなら3相、五つなら5相になります。各コイルは、それぞれ独立して制御されます。複数のコイルを同じスイッチに接続したら、それは電気的に一つのコイルであり1相になります。 図16は、2相ステッピングモータ(HB型)の磁極の構成を示したものです。 四つの磁極がA相となっています。B相も同様です。A相については、コイルの巻き線方法を赤線で示してあります。 この図では1相あたり四つのコイルで構成されている事になり、これまでの説明と矛盾します。しかしそれは見かけ上の事であって、巻き線箇所が複数の磁極にまたがっていますが一つのスイッチに繋がる電気的に一つのコイルであり1相です。 図17と図18に、3相と5相ステッピングモータの磁極構成を示しました。 一つの相が複数の磁極で構成されていても電気的に1相であることは、2相に同じです。なお相の名称を、アルファベットで統一しました。また図の磁極数は一例で、相数の倍数の構成が可能です。 ところで、図16の赤線で示した巻き線に通電した状態を想像して下さい。 電流の左方向に磁界が発生します。フレミングの左手の法則です。 モータ上部の端子から通電したとすると、上下のA相の磁界はモータ中心に向かい、左右はその反対方向になります。 つまり上下の磁極がモータ中心に向かってN極ならば、その時左右の磁極はS極になります。こういった構成方法を取る事で安定したモータ回転が得られます。(mt) コラム一覧に戻る |
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<09 メールマガジン:2011年3月号> ■ ステッピングモータをお使い頂くために(9) ■ 「ステッピングモータの構造(4)- ロータ構造-」 ステッピングモータの構造説明の続きは、ロータ構造の違いについてです。 構造そのものや小歯の数といった違いがロータにはあり、分類が多岐にわたります。またロータ構造が異なれば、相方のステータやコイルの構造もそれに合わせ異なります。 ここではロータ構造の違いを、一般的に大分類として区別されているVR型・PM型・HB型の3つについて説明します。 ・VR型:Variable Reluctance Type 可変リラクタンス型 →図19 ・PM型:Permanent Magnet Type 永久磁石型 →図20 ・HB型:Hybrid Type 複合(ハイブリッド)型 →図21 http://www.mycom-japan.co.jp/mail/mag/column/c2011.htm#c201103 に、構造原理を示す図19・20・21を示しました。 これまでに説明に用いてきた図の多くは、図21のHB型です。この図に示したものは、HB型の実際に近い構造です。図19VR型・図20PM型は構造の原理を示したもので、実際にはもっと込み入った構造です。 PM型のコイルはヨークと呼ぶ鋼板で筒状に囲まれ、ロータに面する側に切り曲げ起こし加工(クローポール)された極歯が並びます。 さてそれぞれの構造的な大きな違いは、 ロータが永久磁石なのがPM・HB型で、鋼板・軟鋼で出来ているのがVR型、ロータに歯が刻まれているのがVR・HB型で、歯が無く円筒状なのがPM型、磁極にコイルが巻かれているのがVR・HB型で、ロータを囲むようにコイルが巻かれているのがPM型、が上げられます。PM型のコイルにはいろいろなこれとは異なる形も考案されており、図20はクローポール(Claw Pole)型です。 HB型は、PM型とVR型の良いところを組み合わせたものです。他の型に比べて、ステップ角を小さくできトルクや速度特性が優れています。 ロータが永久磁石で出来ているHB型とPM型は、コイル磁力から押されたり引かれたりするので、トルクと角度精度が得やすい利点を持ちます。VR型ロータはコイル磁力に引かれるだけです。 またロータが歯車状なっているHB型は歯の先端に自身の磁力が集中するので、コイルに対するロータ位置つまり角度精度が得やすくなります。 VR型は、詳しい説明は省きますが、構造的特徴からモータ長を軸方向に長く取れます。細長いスペースにモータを設置する場合に適していますが、最近は見かけません。PM型はHB型に比べ安価に製造できるので、さほど角度精度が求められていない機器に多く使われています。 なお弊社が扱っているステッピングモータは、HB型が中心です。 半導体製造装置や部品実装装置、複数のモータが協調動作を行う多関節ロボット等、位置決め精度や速度制御が要求される機器に搭載されています。 本コラムは今後、HB型を中心に進んでいきます。(mt) コラム一覧に戻る |
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<10 メールマガジン:2011年4月号> ■ ステッピングモータをお使い頂くために(10) ■ 「ステッピングモータの構造(5)- トルク伝達方法の違い-」 ステッピングモータの構造について前々月号より「相数の違い」「ロータ構造の違い」を説明してきましたが、今回は「トルク伝達方法の違い」です。 これまでにお話ししてきましたステッピングモータは、ロータ軸が回転し機構に力(トルク)を伝達する形態です。内側にコイルが巻かれているステータ(stator)部であるモータケースが機構に固定され、ロータ(rotor)部と一体となったモータ軸が回転する事で得られるトルクを利用します。 この構造はインナーロータモータと分類されますが、この呼称はあまり聞きません。 これとは異なるトルク伝達方式のアウターロータステッピングモータがあります。その名の通り、モータケース部が回転します。 インナーロータモータの軸を固定しステータ部を固定しなければ、ステータ部が回転します。でもこれではアウターロータモータにはなりません。モータに電力を供給するリード線も一緒に回転するので、ケースに巻き付いてしまいます。 http://www.mycom-japan.co.jp/mail/mag/column/c2011.htm#c201104 の図22に、VR型アウターロータステッピングモータの概念図を示しました。 モータケース側がロータになり、小歯構造の永久磁石が内周内向きに取り付けられています。HB型もありいろいろな構造が工夫されていますが、ここでは概念をご理解頂くことに止めます。 アウターロータの利点は、同サイズのインナーロータに比べロータ直径が大きいのでトルクが比較として大きく得られます。この事は長さが短い(平たい/薄い)モータが作れるというメリットに繋がります。一定の低速が必要とされるダイレクトドライブ機構に向いたモータです。しかし、運転と停止の頻繁な繰り返しや速度を可変する用途には、適していません。 アウターロータもインナーロータも、構造的に円筒型で動作は回転することでトルク出力します。一方、回転ではなくリニア(直線)に力を伝達するのがリニアステッピングモータです。 図23に概念図を示しました。リニアステッピングモータの構造は移動子と固定子からなり、当然ですが回転子はありません。固定子には小歯が直線上に刻まれ、コイルと一体化した移動子と対になった構成です。 シリンダー等の直動機構そのものがモータを兼ねる構成であるので、別途動力源を用意する必要がない利点を持ちます。 このようにいろいろなトルク伝達方法がありますが、コイルの磁力によって位置決めを行うと言った共通の原理です。従いまして、今後はインナーロータのHB型ステッピングモータを中心に、本コラムを進めていきます。 さて「ステッピングモータの構造」説明は今回で終わりですが、次月号では関連説明としてコイルの巻き線方法についてお話しします。(mt) コラム一覧に戻る |
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<11 メールマガジン:2011年5月号> ■ ステッピングモータをお使い頂くために(11) ■ 「ステッピングモータの構造(6) -コイルの巻き線方法-」 今月号では、ステッピングモータの構造に関連するコイルの巻き線について説明します。 ステッピングモータに限らず電動モータに、コイルは欠かせません。 コイルは磁極となる鉄心に導電線を巻き付け、通電により磁力を発生させます。 巻き数を多くするほど鉄心を囲む線長が長くなり大きな磁力を発生できますが、モータ内のスペースに限りがありますので巻き数には限りがあります。導電線を細くすれば限られたスペースにより多く巻き付けられますが、大きな電流が流せなくなり磁力を大きくする事には限界があります。 このようにモータには、線材の耐久性や鉄心となる鋼板の加工方法、巻き線の均一性や組立コストの低減化等を研究し、効率よく磁力を発生させるために創意工夫が集まっています。 今回は相違工夫の一つであるモータコイルの巻き方について、知って頂きたいと思います。 さてコイルの巻き方ですが、ユニファイラ(unifilar)巻きとバイファイラ(bifilar)巻きとがあります。 VR型のようにロータ小歯が鉄で作られている構成ではステータ誘導子は磁力を発生させるだけで良く、SでもNでも磁性は問いません。 が、HB型のように永久磁石で構成されるロータ小歯を引いたり押したりする構成では、決められた順序でSまたはNに切り替える必要があります。 つまりコイルへの通電方向を切り替え、ステータ誘導子をSやNにする必要があります。 この通電方向を切り替えるのがステッピングモータの駆動方式で、バイポーラ方式とユニポーラ方式とがあり、コイルの巻き方に密接に関連しています。 <バイポーラ方式:ユニファイラ巻き線> 駆動装置の出力電流方向が切り替わるバイポーラ方式には、ユニファイラ巻き線が対応。 http://www.mycom-japan.co.jp/mail/mag/column/c2011.htm#c201105 の図24に、巻き線イメージ図を示しました。コイル端子A+からA−へ通電される場合とその逆があり、ステータ誘導子がSやNになります。 <ユニポーラ方式:バイファイラ巻き線> 駆動装置の出力電流方向が1方向であるユニポーラ方式には、バイファイラ巻き線が対応。 図25が、巻き線イメージです。バイファイラでは図26の巻き線構成図が示すように、コイル中間点から端子C(コモン)が引き出されており、赤線部と緑線部に二分された構成を取っています。 ユニポーラ方式の駆動装置からの出力電流は1方向のみで、端子Cからコイルに入ります。この電流がA+(赤線部)へと流れる時とA−(緑線部)へ流れる時とに制御されます。それぞれでコイル通電の方向が逆になり、ステータ誘導子がSやNになります。 バイポーラ/ユニポーラ方式は、主に2相ステッピングモータの制御方法にどちらも多く用いられています。バイポーラ方式はモータトルク特性に利点があり、ユニポーラ方式は高速特性や駆動回路の簡便さに利点があります。なおバイポーラ/ユニポーラ方式は駆動装置であるドライバの話まで進みましたら詳しく説明します。(mt) コラム一覧に戻る |
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<12 メールマガジン:2011年6月号> ■ ステッピングモータをお使い頂くために(12) ■ 「ステッピングモータの構造(7) -コイルの結線線方法1[2相・3相]-」 先月号ではコイル巻き線方法ついて説明しましたが、今月号ではステータ内周にあるコイルとコイルとの結線(接続)方法について説明します。 ステッピングモータには主に2・3・5相があり、モータ特性そして作りやすさ等からいろいろなコイル接続方法が提案されています。 まず下記URLの図27に示した、2相バイポーラ型モータ(ユニファイラ巻き線)のコイル結線方法をご覧下さい。 http://www.mycom-japan.co.jp/mail/mag/column/c2011.htm#c201106 現物に近い図示ですが、本コラム’10年12月号に掲載の写真2を見て頂ければわかるように、実際にはコイル間の接続線はロータ回転の邪魔にならないところに配線され簡単には見えません。 しかしこの図は判りにくく、5相モータをこの図法で描いたなら判りにくいだけとなってしまいます。そこで図28以降はコイルの接続関係が判るように簡略化したもので、AやBといったリード端子との繋がりも判りやすくしました。このように描かれた図は、ステッピングモータの取扱説明書等に良く見かけます。 さて図28は図27と同じ2相バイポーラ結線図で、それぞれのコイルに接続関係はありません。コイルの両端は端子A・/A・B・/Bへ、そしてモータ外部へリード線として出でています。2相バイポーラ結線モータのリード線は4本で、このリード線に電流が出たり入ったりします。 図29はユニポーラ結線図です。2相モータでリード線が6本なら、ユニポーラ結線モータです。A-COM・B-COMから電流が入っていくのが一般的な駆動方法です。巻き線方法はバイファイラです。またA-COM・B-COMを使わなければ、バイポーラ駆動も可能です。なおCOMはCommonの略です。 図30は、弊社発案のコイル結線方法で、新2相結線と呼んでいます。バイポーラ構成コイルの中間点が接続されていて、バイポーラ駆動とユポーラ駆動を組み合わせる事ができる結線方法です。 電流をコイル全部に流したり半分だけにしたりする駆動方法で、特徴あるモータ回転角が得られます。 次は3相ステッピングモータです。 3相モータは3個のコイルで構成され、結線方法には図31・32に示したデルタとスターがあります。この2種は共にリード線3本なので、モータ外観からは区別できません。 リード線6本の、コイルを結線しない3相独立型もあります。 このようにコイルの結線方法にはいろいろあり、それぞれの駆動方法は異なります。つまり電流のON/OFFや向きを切り替える励磁パターンが異なります。例えばバイポーラ結線モータを、ユニポーラ駆動装置(ドライバ)の励磁パターンで駆動はできません。 励磁パターンのお話しは、今後に予定しています駆動装置(ドライバ)の説明時に詳しくする事にします。 次号は結線方法の続きで、5相ステッピングモータです。(mt) コラム一覧に戻る |
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<13 メールマガジン:2011年7月号> ■ ステッピングモータをお使い頂くために(13) ■ 「ステッピングモータの構造 -コイルの結線線方法2[5相]-」 現在ではマイクロステップ駆動といった微少角制御が行える駆動装置(ドライバ)が一般的になり、当社製品ではモータ軸1回転を50万分割する回転角制御も行えるようになっています。それ以前、フル/ハーフステップ駆動が主流であった頃は、回転角度を細かくするためにはモータ構造の工夫に頼るしかありませんでした。 2相ステッピングモータの一般的なステップ角は1.8°で、これが2相のフルステップ駆動です。モータ軸1回転を200分割します。ハーフステップ駆動にするとステップ角は0.9°になり、1回転を400分割する事になります。 同様に3相ではフルステップ駆動時のステップ角は1.2°となり、ハーフステップ駆動では0.6°です。 駆動装置(ドライバ)にマイクロステップ駆動機能が無い場合、これ以上細かいステップ角駆動はできません。 相数を増やせばステップ角をより細かくできるはずであるとして、5相ステッピングモータが考案されました。 モータの構造は複雑になりましたが、フルステップ駆動時のステップ角が0.72°となりハーフステップ駆動では0.36°の制御ができるようになりました。 では更に10相とか20相にすればもっと細かいステップ角が得られるわけですが、構造的に複雑となり生産が難しくなる等労多くして益少なく汎用品にはなっていません。 なお2・3・5相共にロータの歯数は50が一般的ですが、ロータ歯数を100にしたものがあり、フル/ハーフステップ角はそれぞれ前述の半分と細かくなります。こちらも加工生産がより難しくなり、主流ではありません。 さて5相ステッピングモータですが、 http://www.mycom-japan.co.jp/mail/mag/column/c2011.htm#c201107 の図33に示すコイル結線方法で世に出ました。スタンダード結線と呼ばれています。 このモータのリード線は10本です。詳しい説明は別の機会に致しますが、10本リードのステッピングモータを駆動させるには、リード線1本について2個合計で20個の制御回路が駆動装置側に必要になります。 2相で最大8個、3相で最大6個の制御回路でしたので、飛躍的に多くなってしまいました。 そこで図34・35・36のようなコイル結線方法が考案され、現在に至っています。図の順に、ペンタゴン結線・スター結線・新ペンタゴン結線と呼ばれています。 いずれもリード線が5本に減り、制御回路も10個になりました。 それぞれコイルへの励磁パターンは異なりますが、フルステップ角0.72°で動作する事に違いはありません。 図37は、図33スタンダード結線をモータの構造に合わせて書き換えたものです。 どの端子とどの端子をつなぎ合わせたらペンタゴンやスターや新ペンタゴンになるのか、線を入れてみて下さい。(mt) コラム一覧に戻る |
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<14 メールマガジン:2011年8月号> ■ ステッピングモータをお使い頂くために(14) ■ 「ステータ磁極誘導子とロータ小歯の磁力バランス(1)」 前号までで、ステッピングモータの構造についての説明は一段落しました。 続いてこのステッピングモータを駆動させるドライバの話へと進みますがその前に、“ステッピングモータはどのように動くのか止まるのか”を、モータ内でどのように磁気が働いているのかを見る事で実感して頂きたいと思います。 ドライバの説明への橋渡しとして、4回くらいの予定でお話します。 ステータ磁極誘導子とロータ小歯とが、互いの磁力で押したり引いたりしてステッピングモータは回転し、あるいは停止すると説明してきました。つまり互いの磁力のバランスが取れる方向に回転し、バランスを維持できるところで停止しているわけです。 今回を含め“磁力バランス”の説明は図解が中心となりますが、一つだけ次の法則を覚えて下さい。 [磁極間に働く力(F)は、磁極それぞれの磁力(m)に比例する] [磁極間に働く力(F)は、距離(r)の二乗に反比例する] F∝(m1×m2)÷(r×r) /* ∝は比例記号 */ 磁気に関するクーロンの法則です。 磁極間とはここではステータ誘導子とロータ小歯になり、m1とm2はそれぞれの発生磁力を示します。 発生磁力の強弱により押したり引いたりする力は大小し[比例]、距離が近づく(離れる)ほど磁極間磁力は大きく(小さく)なります[反比例]。距離の二乗に反比例ですから、離れれば離れるほど磁極間磁力はどんどん小さくなります。 さて“磁力バランス”の実感ですが、先ずはロータが停止している状態です。 http://www.mycom-japan.co.jp/mail/mag/column/c2011.htm#c201108 の図38は、2相ステッピングモータが励磁された状態を示しています。 各コイルが励磁され、その磁力でロータは停止しています。 なおこの励磁ではA相がS極に、B相がN極になっています。A相1-1に対向するA相1-2が同じS極で、機械位置が±90°にあるA相2-1と2-2はN極になっています。そうなるようにコイルが巻かれています。 (2月号図16参照) B相も同様です。 図39は、図38のステータ磁極部分の拡大です。ステータ誘導子とロータ小歯が、少しずつズレています。対向しているところは、どこにもありません。各コイルが励磁されロータ小歯との磁力バランスが取れると、このズレた状態になります。 このズレが「回転/停止」、ポイントです。 ロータ小歯の、赤はN極で青はS極です。ステータ誘導子に一番近いロータ歯は、N極でしょうかS極でしょうか。 クーロンの法則により一番近い磁極間磁力が一番大きいので、A相1-1ではS極に励磁されたステータ誘導子とN極ロータ小歯の引き合う力が一番であり、矢印で示したCW方向の回転力となっている事が判ります。 図38でロータが停止している状態と言いましたが、A相1-1ではCW方向の力が発生しています。CWに回転しないのはなぜでしょう? 隣のB相1-1では、一番強く働いている磁力の方向はどうなっているでしょうか。 次回で詳しく調べてみる事に致します。お付き合い下さい。(mt) コラム一覧に戻る |
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<15 メールマガジン:2011年9月号> ■ ステッピングモータをお使い頂くために(15) ■ 「ステータ磁極誘導子とロータ小歯の磁力バランス(2)」 ステッピングモータの回転/停止について“モータ内でどのように磁気が働いているのかを見る”の続きです。 モータ内の事を知らなくてもステッピングモータを動作させる事はできますが、知っておいて頂くと特性をより良く引き出せる事に繋がりお得です。 さて先月号の図38・39で、停止しているステッピングモータのA相1-1ではCW方向の力が発生していることを示しました。CWに力が発生していますが、モータは停止状態です。“磁力のバランス”で停止しているのですから、どこかに反対向きの力が発生していると考えられます。 となりのB相1-1を、見てみます。一番強く働いている磁力の方向はどうなっているでしょうか。 N極に励磁されたステータ誘導子とS極ロータ小歯の引き合う力が一番であり、CCW方向の回転力が生じています。 http://www.mycom-japan.co.jp/mail/mag/column/c2011.htm#c201109 の図40の通りです。 CWとCCW方向の力の拮抗したバランスで、モータは停止している事が窺えます。 モータ全体では、どうなっているでしょうか。図41をご覧下さい。 A相の4磁極はCW、B相の4磁極はCCW方向の力が発生しており、全体で磁力方向のバランスが取れモータ軸は停止しています。 この拮抗する力のバランスが相励磁の切り替えで、すべてCWあるいはCCW方向への力となった時、その方向にモータ軸が回転します。 そして回転した先でまたCWとCCWの力が拮抗する状態となり停止します。 これがステッピングモータの回転であり、停止の原理です。 回転し停止する図解は、次号にて行う予定です。 このようにステータスの磁極誘導子とロータ小歯とのズレが、ステッピングモータの動作を決定づけています。 ステッピングモータの動作の最大特徴は、回転と停止です。 それがこのズレによって生まれます。 “停止”とは、ただ停まっているだけでなく、現在の位置を保持して回転しない状態です。そうでないとステッピングモータとは言えません。 電動モータは全て磁力バランスで回転していますが、誘導モータは回転方向に引く力のみで回転し、意図した位置に停止できません。 つまり通電を止めれば停止しますが、コイルは磁力を発生しませんから停まった位置に留まっている事はできません。 ステッピングモータは、CWとCCWに同等な磁力が発生している事でバランスが取れ、CWへもCCWへも回転せず停止する事ができるわけです。 (mt) コラム一覧に戻る |
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<16 メールマガジン:2011年10月号> ■ ステッピングモータをお使い頂くために(16) ■ 「ステータ磁極誘導子とロータ小歯の磁力バランス(3)」 前月号では、磁極誘導子とロータ小歯とにCW・CCWの両方向の力が発生し、 相殺された磁力のバランスでモータ軸が停止していると説明しました。 (前月号図40・41) これらの図では磁極誘導子とロータ小歯との磁力方向を、磁極誘導子 P3とロータ小歯N1のように直近のものだけで示しました。が、磁力は 直近のものだけに発生しているわけではありません。 http://www.mycom-japan.co.jp/mail/mag/column/c2011.htm#c201110 の図42に、A相1-1とロータ小歯の磁力発生状態を示しました。 赤矢印線は磁極に引かれる磁力線を、青矢印線は反対に押される 磁力線です。同じ引かれる磁力線でも、CW・CCW両方向があります。 示した磁力線はこれでも一部で、ロータ小歯1個はモータ内の磁極 誘導子全てと引いたり押したりする関係にあります。 図42の磁力線をCWとCCW方向に分け、それぞれの磁力を求め合算 すると、S極に励磁されたA相1-1ではCW方向の力が優勢となります。 ここでは計算はしませんが、図示した矢印線が短いほど磁力が大きいと いうクーロンの法則を思い出して下さい。従って直近の磁極誘導子と ロータ小歯の磁力線のみをイメージする事で、ロータに生じる回転力 方向を示す事にします。 さてロータが停止している状態の説明が続きましたが、ステッピング モータには回ってもらわないといけません。 図解した方が判りやすいので、図43-0〜-5に、CWに1.8°回転する 様子を示しました。 【図43-0】 前月号の図40に同じで、ロータは停止状態です。 赤く塗りつぶしたロータ小歯に注目して下さい。 【図43-1】 B相1-1の励磁が、S極に変わりました。 B相1-1磁極誘導子の直近のロータ小歯との磁力方向が変わり、 A相1-1と共にCW方向に磁力が働き回転を始めます。 【図43-2】 CWへ0.45°回転したところです。 磁極誘導子とロータ小歯との磁力が大きさが変化しました。 まだCW方向への回転力があります。 【図43-3】 更に0.45°回転し、最初から0.9°の所に来ました。 直近のロータが入れ替わり始め、磁極誘導子とロータ小歯との磁力が 大きさ方向共に変化しました。 A相1-1ではCCW方向への回転力に変わってきましたが、まだCW方向 への力が優位です。 【図43-4】 更に回転し、1.35°に来ました。 A相1-1のCCW方向の力が大きくなり、ブレーキが掛かり始めました。 【図43-5】 更に回転し、1.8°に来ました。2相ステッピングモータのフルステップ 一つ分回転しました。 二つの相の発生磁力が反対向きになり、バランスが保たれロータは 停止します。それぞれの相の発生磁力方向は、図43-0とは反対向きに なっています。 では更にCWへ回転させるにはあるいはCCWに戻すには、相の励磁を どうすればいいでしょうか。 このようにフルステップ角度を正確に刻んでCWへもCCWへも回転させ、 止めたい角度できちんと止めるのが、相コイルの電流方向を切り替える 相励磁パターンです。(mt) コラム一覧に戻る |
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<17 メールマガジン:2011年11月号> ■ ステッピングモータをお使い頂くために(17) ■ 「ステータ磁極誘導子とロータ小歯の磁力バランス(4)」 先月号の図43-0〜-5で、ステータ磁極の励磁が変わるとロータとの 間の磁力方向が変わり、バランスが安定する方へ回転する事を示しました。 この動きをアニメーションにして欲しいとのご要望が寄せられましたので、 動画4を作りました。 http://www.mycom-japan.co.jp/mail/mag/column/c2011.htm#c201111 ステッピングモータ内部の動きを、実感して頂けます。 動画4では、ロータがCWに3.6°(2相フルステップの2ステップ分) 回転します。 “連続自動再生”と“手動再生”を用意しました。 手動再生では「次へ」をクリックする毎に0.15°回転する画像が、 No.0からNo.26まであります。 赤く塗りつぶしたロ−タ小歯の動きにご注目下さい。 ステータ磁極それぞれの直近のロータ小歯に働く磁力の方向を、矢印 で示してあります。 【No.0・1】 磁力の方向はCW/CCWに同じで、磁力バランスが保たれ停止しています。 B相1-1の励磁がN極からS極に変わり、CWへの磁力のみになります。 【No.2〜7】 ロータはCWへ回転を始めます。 A相1-1とロータ小歯に働く磁力の方向が徐々にCCWに変わっていき、 0.9°で回転する力はゼロになります。 【No.8〜12】 A相1-1とロータ小歯に働く磁力の方向は逆転し、CCWの方が強くなって いきます。 【No.13・14】 1.8°でA相1-1とB相1-1との磁力が逆方向で同じになり、ロータは停止 します。 次ぎにA相1-1の励磁がS極からN極に変わり、CWへ回転を始めます。 【No.15〜26】 前述と同じ動きですが、今度はB相1-1とロータ小歯とで磁力方向が 逆転していきます。 このように相の励磁が切り替わる事で、ロータが回転したり停止したり します。 言い換えると切り替わった励磁により、磁力バランスが保たれる“指令 された位置へ止まろうと進む”動きとなります。励磁が切り替わらなく なったら、“止まっているまま”になります。 つまり指令された位置に“止まろうと進む”あるいは”止まっているまま“が、 ステッピングモータの動きです。 止まることが得意なステッピングモータなのです。(mt) コラム一覧に戻る |
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<18 メールマガジン:2011年12月号> ■ ステッピングモータをお使い頂くために(18) ■ 「ステッピングモータはデジタル?―雑談タイム1―」 前回まで、ステッピングモータの構造からモータ内の磁気バランスについてお話ししてきました。 ステッピングモータの構造にまつわる話は一段落します。止まる事を得意とするステッピングモータの姿を、少しでも実感して頂けたら幸いです。 本コラムは営業マンやステッピングモータとは縁遠い方々に、ステッピングモータを知ってファンになって頂く事を目的としております。 技術者の皆さんには物足りない内容、のんびりした話の展開かとは思います。お許し下さい。 さて次回新年1月号からコラムは、ステピンモータを動かすドライバ[driver]の話へと進みます。 ステッピングモータを止める・動かす、つまり駆動する(drive)ための装置を説明していきます。 が、今月号は雑談を一つさせて頂きますので、いつもより気軽にお読み下さい。 今回サブタイトルを「ステッピングモータはデジタル?」としました。 ステッピングモータはデジタルである、と筆者は考えています。 デジタル制御に適したモータであると。 ではステッピングモータはアナログとは無縁かというと、そうではありません。駆動させる源は電流であり、モータの動きに合わせ電流値はアナログ状にアップダウンし調整されています。 デジタル(digital)はアナログ(analog)と対立しているのではなく、アナログの特殊な姿と考えておいた方が良いと思っています。そもそもデジタルとは?アナログとは?を明確にしておかなければならないのですが、ここでは制御について次のように理解して頂けたらと思います。 0Vから5Vまでの電圧制御を、例に取ります。 アナログ制御の場合は、ボリュームを回すと出力電圧が上下する イメージです。0Vから5Vの間を直線的に上下します。 デジタル制御の場合制御分解能が1V毎ならば、0・1・2・3・4・5Vの6通りの出力電圧となり、5ステップの階段状に上下するイメージです。 制御分解能をより細かくすればステップ数はより多くなり、制御分解能無限大がアナログ制御に等しくなります。つまりデジタルはアナログの特殊な姿と言えるのがお判り頂けるでしょう。 アナログ制御の場合はボリュームの回し方で2.345Vといった任意な電圧に制御できますが、ボリューム角度と電圧に相関関係はあるものの電圧計を見て確認する必要があります。 デジタル制御では出力電圧は任意にできませんが、制御指令に対応した電圧は常に同じです。電圧計を用いなくても、電圧は定まります。 ではステッピングモータです。 ステッピングモータの回転角は予め、2相フルステップなら1.8°というように、決まった角度になっています。制御装置からパルスを3つ送れば、ステッピングモータは3ステップ回転します。角度計測計を用いなくても、必ず指令位置に行きます。このパルスは、オンとオフとで構成された1ビットのデジタル信号です。 また制御分解能をより細かくすれば、2.345°といったフルステップ角以外の角度に制御できるようになります。 前述の電圧のデジタル制御と、同じに見えませんか。 乱暴な話の展開になりましたが、今回はこれで終わりです。 このステッピングモータとデジタルのお話しは、制御誤差・許容誤差の捉え方といった“制御思想”につながっていきます。 それはどういう事か? なにやら大袈裟な成り行きになりましたが、続きはまたの雑談タイムにお話しようと思います。 本年中はお付き合い下さいましてありがとうございました。 来年もよろしくお願い申し上げます。 良い年になりますようお祈り申し上げます。(mt) コラム一覧に戻る |
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