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■ マイコムでは、かねてから週初めの月曜日の朝礼で全社員向けに「見えないものを見えるようにする」「聞こえないものを聞こえるようにする」といった週替りの空想概念が説かれ、また技術系社員による創造(創造学習)訓練の一環として、毎週金曜日の午後の3時以降は自由時間を設け、本業とはかけ離れたテーマによる実験・試作に当ってきました。そうした中で、技術や技能から科学的知識が育むようなテーマを選んで挑戦してまいりました。

■ 挑戦したテーマは、「植物の成長から発電できないか(植物電池)」、「日常の生活用品を利用して発電できないか(化学電池)」といった観点での試行錯誤による創造を開始、このたび1次電池となる実用的な性能が伺えるところまで達しましたので、その様子を紹介します。


■ <写真1>のように、植物(ガジュマル)の幹にステンレス製と鉄製のネジを刺すことで、ステンレス側がマイナス(−)極、鉄側がプラス(+)極としての直流の起電力が生じます。このとき起電力0.6V、短絡電流約0.015mAを実現、また、鉄側の+極辺りに太陽光線を照射しますと電圧が増加傾向を示し、太陽電池への応用も見込まれます。

<写真1>

■ ここではガジュマルでの電池応用をご紹介しましたが、他にもあらゆる植物で同様の効果があり、マイコムでは青竹を用いた実験も行っています。<写真2>

<写真2>




■ <図1>のように電解液となる海水の入った容器にマグネシウム板(あるいはアルミ板)と銅板を浸しますと、マグネシウム板をマイナス(−)極、銅板をプラス(+)極とする化学電池ができます。それに、海水とする電解液に家庭用品である塩素系の洗剤と、電解液を活性化させる電解活性剤として、かつてマイコム独自に開発した導電カーボン剤を混合することにより、1セルあたり、起電力約1.5V、短絡電流:約400mAを得ることができました。

<図1> 1次電池のセルの構造

■ この化学電池は、海水に塩素系の洗剤と導電性カーボン剤を補充することで比較的長時間の発電が可能となり、一般的に言われる再生可能な「燃料電池」の一種としての発展が期待できます。

■ また<図2>のとおり、このセル3個を直列に接続する事で起電力4.5Vとなり、さらにこの3セルを並列に接続することで短絡電流は、800mAを実現します。

<図2>

■ このモジュールの場合、6セル(3セル直列したものを2個を並列接続)で、無負荷時の電圧はDC約4.5Vに、電気2重層キャパシタを接続して、安定した出力が出せるようにした状態で負荷抵抗約2Ωを接続したところ、電流は約400mA、出力電圧はDC約1Vまで低下しましたが約1時間流すことができました。



■ 次に、<動画1>のようにこのモジュールで小型直流モータ(約1.5V/約500mAで回転)を接続し、高速での回転を確認しました。

<動画1> 小型直流モータの回転実験


■ また、クリスマスも近いこともあって、<図3>のとおり、モジュール4個を並列に接続して電気2重層キャパシタを接続した回路によるイルミネーションとして60時間連続での点灯・点滅に挑戦しました。

<動画2> イルミネーション点灯実験

<図3>

■ このときの性能は電圧:約4.5V、短絡電流:約3200mAです。この様子は、マイコムのVEST研究所玄関脇の樹木を利用して行っています。




[植物電池]
■ 庭園が発電所となり、同時に庭園でのライトアップが可能となる。

[化学電池]
■ 昼夜関係なく弁当に付いている魚の形の容器に入った醤油のごとく電解液とその活性剤を補充するだけで再生可能な電源となる。・・・・・・・・・全天候型の電源装置。

■ 太陽電池や風力発電のような電力変動に左右されない電力供給が可能。・・・・・・・・・太陽電池や風力発電装置の電力補完が可能。

■ 外付けハードディスクのサイズで、ノート型パソコンへの外部電源装置となる。・・・・・・・・・砂漠や海上、あるいは山頂でのパソコン操作が可能。